一水四見
読み方
いっすい しけん意味
同じ一つの水でも、見る者の境遇・業・心のあり方によって、まったく異なるものとして認識されるという仏教語。人には水、魚には住みか、餓鬼には膿血や火、天人には宝などに見えるとされる。転じて、同一の事実や対象でも、立場・価値観・経験の違いによって見え方や評価が異なることをいう。由来
仏教経典・仏教論書に由来する語で、同じ水を四種の衆生がそれぞれ異なって見るという譬喩から成る。代表的には、インド仏教の思想を伝える『大智度論』などに説かれる。一水を人・魚・餓鬼・天人が異なって認識するという説明であり、『大智度論』は中国で鳩摩羅什により5世紀初頭(402~406年頃)に漢訳されたとされる。備考
主に仏教・思想・評論の文脈で用いる語。日常会話では「十人十色」などのほうが一般的である。四つの見え方の具体例には、経典や解説書によって「火・膿血・瑠璃・甘露」など表現上の違いがある。例文
- 同じ制度改革でも、経営者には成長策、現場には負担増と映る。一水四見というように、立場によって評価は分かれる。
- 彼女は批判を改善の機会と受け取ったが、彼は攻撃だと感じた。一水四見のたとえどおり、同じ言葉でも受け止め方は異なる。
- 歴史上の出来事を論じる際には、一水四見の視点を持ち、当事者ごとの事情や認識の差を考慮する必要がある。