一筆啓上
読み方
いっぴつ けいじょう意味
手紙の書き出しに用いる改まったあいさつ語。「少し書き送ります」「簡単に申し上げます」という意味で、相手に敬意を払いつつ用件を書き始める表現である。特に目上の人や、格式を意識した手紙で使われる。由来
「一筆」は短い手紙・ひと筆したためること、「啓上」は相手にへりくだって申し上げる意の手紙語である。中国由来の漢語を組み合わせ、日本の書簡文で定着した表現とされる。成立時期を特定するのは難しいが、近世以前から用例があり、永禄13年(1570年)ごろの本多重次の書状と伝わる「一筆啓上、火の用心、お仙泣かすな、馬肥やせ」は、この句を含む有名な例として知られる。備考
現代では日常的なメールにはやや古風で、儀礼的・文語的な響きがある。手紙の冒頭に置き、結びには「敬具」などを添えることが多い。「拝啓」よりも、短い用件を改まって伝えるニュアンスを持つ。例文
- 祖父は旧友への手紙の冒頭に、「一筆啓上、皆様にはますますご清祥のこととお喜び申し上げます」と記した。
- 改まった書状を書くため、「一筆啓上」の後に時候のあいさつと用件を続けた。
- 小説では、戦地にいる人物が家族宛ての短い便りを「一筆啓上」から書き始めている。
類義語
- 拝啓
- 謹啓
- 一筆申し上げます
- 一筆差し上げます