一飲一啄
読み方
いちいん いったく意味
一口飲むことと一口ついばむこと。鳥のわずかな飲食を指す語から転じて、人が口にする飲食物の一つ一つにも、前世からの因縁や業(ごう)による定めがあるという仏教的な考えをいう。日常の小さな出来事にも原因・縁がある、という意味でも用いられる。由来
中国・唐代の仏教類書『法苑珠林(ほうおんじゅりん)』に見える「一飲一啄、莫非前定(いちいんいったく、まくひぜんていにあらず)」に基づく。『法苑珠林』は唐の道世が編んだ仏教説話・資料集で、668年頃に成立したとされる。「一飲一啄でさえ、前世から定められた因縁でないものはない」という趣旨である。備考
現代の日常会話ではあまり使われず、仏教・漢文・文章語で見かける。単に「少し飲み、少しついばむ」という字義だけでなく、因縁・宿業の思想を含んで使われることが多い。例文
- 祖父は食事の前に、「一飲一啄にも因縁がある」と言って、食べ物への感謝を忘れなかった。
- この小説では、主人公たちの出会いが一飲一啄の因縁として描かれている。
- 一飲一啄という語は、日々の飲食さえ偶然ではないとみる仏教的な世界観を表している。
類義語
- 因果応報
- 宿世因縁
- 前因後果
対義語
- 偶然
- 自由意志