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楽不思蜀

読み方

らくふしょく

意味

今いる場所での安楽や待遇を楽しみ、故郷・以前の国・かつての立場を懐かしまず、忘れてしまうこと。転じて、新しい環境に満足して、元いた所や昔のことを顧みなくなることをいう。多くは、故郷や恩義を忘れることへのやや批判的な含みを伴う。

由来

中国・三国時代末の故事に基づく。263年、蜀漢の後主・劉禅が魏に降伏して洛陽へ移された後、魏の実力者・司馬昭の宴で「蜀を思うか」と尋ねられ、「此間楽、不思蜀(ここは楽しく、蜀を思わない)」と答えたという。『三国志』蜀書「後主伝」の裴松之注が引く『漢晋春秋』に見える逸話から、「楽不思蜀」が、安楽に浸って故郷を忘れる意の成語となった。

備考

主に文章語・故事成語として用いる。「楽」は音楽の意味ではなく「楽しむこと」。原義には故国を忘れるという否定的な響きがあるが、現代では新しい環境になじむ意で比較的中立的に使われることもある。

例文

  • 海外赴任先での暮らしがすっかり気に入り、彼は楽不思蜀で、帰国の話にもあまり乗り気ではない。
  • 新天地で成功したからといって、故郷の人々への感謝を失えば楽不思蜀だと批判されかねない。
  • 快適な都会生活に慣れた彼女は、楽不思蜀のように、田舎へ戻りたいとは言わなくなった。

類義語

  • 楽而忘帰
  • 故郷を忘れる
  • 安楽に耽る

対義語

この四字熟語に使われている漢字